22日の日経平均は前日比164.15円(0.80%)安の20388.16円でした。始値は20583.95円、高値は20615.12円、安値は20334.99円でした。非常に上値の重い展開でした。アジア株や米株価指数先物の下落が嫌気されました。ですが、75日移動平均線(22日現在20370.82円)は辛うじて上回っています。また、25日移動平均線(同19898.24円)も上回っており、短期の需給は引き続き良好です。
ただし、22日のMACD(12日-26日)は270.08、シグナル(9日)は239.63と接近し、デッドクロスが視野に入り続けています。このため、今後、MACDとシグナルがデッドクロスするようだと、日経平均の調整色が強まる見通しです。そうはいっても、25日移動平均線を上回り続けている限り、足元の値動きは鈍いながらも、リバウンド相場は継続しているとみておけばよさそうです。
一方、21日の米国のVIX指数は前日比1.54(5.50%)高の29.53でした。これが来週以降、再び上昇傾向(具体的には40を大きく超えていくイメージ)を示してきたら要注意です。ただし、21日のVXMは32.38で、VIX/VXVレシオは0.91でした。同レシオが1を下回っているので米株式相場は好調といえます。よって、VIX指数自体が40を超えてきたり、VIX/VXVレシオが1を超えてこない限り、米国株市場が乱高下することはないでしょう。
ところで、政府は22日、大阪、京都、兵庫の3府県への緊急事態宣言を解除しました。3府県は感染状況など独自基準に基づき、23日から休業要請の縮小を決めました。また、東京都は22日、緊急事態宣言が解除された場合、休業要請を段階的に緩和する今後の工程表「ロードマップ」を発表しました。このように日本全体が経済活動の再開に向けて、着実に動いています。これは日本株にとってポジティブです。
また、日銀は22日午前、臨時の金融政策決定会合を開き、金融機関を通じて中小企業の資金繰りを助けるため、30兆円規模の新たな資金供給策を正式に決定しました。既に実施済みの社債購入などを加えた日銀の資金繰り支援策は総枠75兆円規模になります。このような未曽有の規模の資金繰り支援も我が国経済を強力に下支えするでしょう。
悪化している景気・経済に対して、歯止めを掛けるために「やれることはなんでもやる!」という姿勢を政府・日銀が崩さない限り、市場が今年の2月下旬から3月中旬のように、激しく動揺することはないでしょう。その一方で、経済活動の再開は一気に行われるわけではなく、感染状況等を横目に睨みながら段階的に実施される見通しです。このため、景気・経済の回復も緩慢でしょうし、企業業績の回復ピッチも同様のペースになることは想像に難くありません。このため、政策期待で下値は堅いながらも、株式相場の回復も緩慢なものになる見通しです。
2020年5月22日
相場の見立て・展望(5月22日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。