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2020年12月18日

相場の見立て・展望(12月18日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
米国株が相変わらず非常に強い動きを続けています。17日のNYダウは、前日比148.83ドル高の30303.37ドルと4日以来、およそ2週ぶりに過去最高値を更新しました。ナスダック総合株価指数は同106.557ポイント高の12764.745ポイントと連日で過去最高値を更新しました。そして、S&P500種株価指数も同21.31ポイント高の3722.48ポイントと過去最高値で取引を終えました。この日は、FRBによる金融緩和の長期化観測と、追加の米経済対策の早期成立期待が買い材料になりました。

パウエルFRB議長は16日、FOMC後に記者会見で、「資産購入の縮小は完全雇用の達成が視野に入り、インフレ率が2%近辺に近づいたと評価されない限りはない」、縮小を検討する時期が近づけば「かなり前もって周知する」と述べました。また、「我々の目標に向けた進展が鈍れば、低金利政策やバランスシートの拡大加速で対応する」とも述べました。この一連の議長発言を受け、市場は、量的緩和の長期化を確信したようです。

一方、失業給付の拡充措置や家計への現金給付などを含む9000億ドル規模の追加の経済対策に関しては、上院共和党トップのマコネル院内総務が17日、「超党派での合意に向かっている」と述べました。また、ペロシ民主党下院議長も「民主党は合意形成に向けて進んでいる」と発言したそうです。そして、「現在の暫定予算の期限となる18日までに議会での採決となり、成立するとの見方もある」と報じられています。追加の経済対策が早期に合意されるならば、新型コロナの感染拡大で米景気が下振れするとの懸念は大幅に後退します。当然これは 株式市場にポジティブです。

ところで、海外投資家の日本株の現物買いが継続しています。12月第2週(7~11日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家は現物株を2557億円買い越しました。前週は1599億円の買い越しで、買い越しは6週連続です。ただし、海外投資家は先物(日経平均先物、TOPIX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)を3週連続で売り越しました。ですが、売り越し額は397億円と少額でした。私は、海外勢の「現物+先物の合計」が売り越しに転じない限り、日本株は堅調に推移するとみています。

それにしても、堅調な日経平均に対して、東証マザーズ指数の軟調さが相変わらず際立っています。これに関しては、過去に当コラムで指摘していますが、個人投資家が年末受け渡し最終日(2020年12月28日)を意識して、節税目的の「損出し」を行っていることが需給面での主因とみています。また、例年12月はIPOラッシュです。今年の12月は26件のIPOが集中します。

このような状況下、足元では直近IPO銘柄の火柱高が目立っています。流れを作ったのが、16日に東証マザーズに新規上場した、トースターでおなじみのバルミューダ(6612)でした。初値は公開価格の1930円を63.21%上回る3150円でした。その後、連日買い注文を集め、急騰し続け、18日の最終気配は前日比700円(15.38%)高の5250円ストップ高買い気配です。

また、17日に東証2部に新規上場した、オーケーエム(6229)も17日に公開価格1220円を6.55%上回る1300円で初値を付け、上場初日は初値比85円(6.54%)高の1385円で取引を終えました。そして、翌18日の最終気配は前日比300円(21.66%)高の1685円ストップ高買い気配です。他にも、15日に新規上場したビーイングHLDGS(9145)の18日終値は前日比345円高(22.23%)高の1897円でした。また、16日に東証マザーズに上場したFast Fitness Japan(7092)の18日の終値は前日比345円(22.23%)高の1897円です。

これは投機資金(短期資金)が直近IPOへの流入を加速させている結果です。多くの短期売を行う個人トレーダーは、既に保有している値動きの鈍い銘柄の換金売りを急ぎ、資金を直近IPOに振り向けているし、今後もそうすることでしょう。よって、当面の株式市場では「直近IPO祭り」が続く見通しです。逆に、直近IPO以外の小型株は換金売りの対象となるため、この祭りが一服するまで調整色が強まりそうです。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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