投資顧問会社の株式会社G&Dアドヴァイザーズが運営するWebサイト

株式会社G&Dアドヴァイザーズ
関東財務局長(金商)第1756号
一般社団法人 日本投資顧問業協会 会員番号第012-02487号

営業時間 平日 8:30~18:00

03-6417-4257

2022年6月10日

相場の見立て・展望(6月10日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
前回の当コラムでは、“上昇トレンドが発生したと相場認識を改めます。今後のメインシナリオは、まずは、3月25日の28338.81円を目指すとみています。テクニカル的には、25日移動平均ベースのボリンジャーバンドプラス1σ(3日現在27208.86円)とプラス2σ(同27658.13円)との間での「バンドウォーク」を想定しています。”としました。実際の日経平均は6月9日に28389.75円まで上昇し、3月25日の高値を更新しました。

ですが、6月9日の米国株式相場が続落したことで、10日の日経平均は6日ぶりに大幅に反落しました。終値は前日比422.24円(1.49%)安の27824.29円でした。ちなみに、9日のNYダウは大幅に続落し、前日比638.11ドル(1.94%)安の32272.79ドルでした。ナスダック総合株価指数も続落し、同332.045ポイント(2.75%)安の11754.226ポイントでした。ECBが9日、7月に量的緩和を終了すると決め、同月中には0.25%の利上げに踏み切る方針を示し、さらに、9月には追加利上げの可能性も示唆したことが嫌気されました。

6月10日発表の5月の米CPIに関しては、「CPIでは総合指数の前年同月比の伸び率は4月から横ばいとみられる一方、前月比では加速すると予想されている。一方、価格変動が大きいエネルギー・食品を除くコア指数は前年同月比と前月比ともに伸び減速が見込まれている。」と報じられています。いずれにせよ、世界の株式市場での最大の関心事は、「インフレ」です。発表数値次第では、来週の米国株式市場がホラタイル動く可能性があります。

また、市場は、来週6月14〜15日と7月のFOMCで0.5%ずつの利上げを織り込んでいます。ですが、5月のCPIが想定以上に上昇しているようだと、FRBが更にタカ派的になることが警戒されます。9日のWTI期近7月物が前日比0.60ドル安の1バレル121.51ドルと3日ぶりに反落したとはいえ、高値水準で推移しています。このように、原油高を主因としたインフレ圧力は弱まっていません。そして、9日の米10年物国債利回りが前日比0.02%高い3.04%で終え、一時3.07%と1カ月ぶりの高水準を付けました。

米国の長期金利高は外国為替市場でのドル高・円安要因です。円相場に関しては、“円売りを主導するヘッジファンドなどの投機筋には135円台を通過点とみなし、次の「大台」である150円を目指そうとの機運すらある。”と一部で報じられました。当然のことながら、円安・ドル高は、我が国輸出企業に追い風です。

一方、国内では、政府内で観光需要喚起策「Go To トラベル」が6月末〜7月にも再開する案が浮上しているようです。また、6月からは入国者数の上限が1日1万人から2万人に拡大し、6月10日に外国人観光客の受け入れが再開されました。今後、旅行、インバウンド需要の増加が期待できます。これも、日本株の押し上げ材料です。

更に、当面の東京株式市場では、「自社株買い」と「配当の再投資」が見込めます。4〜5月の2カ月間で企業が発表した2022年度の自社株の買い入れ枠は計4.2兆円となり、前年同期の約2倍です。また、大和証券のレポートによれば、「TOPIX 構成銘柄の6月配当合計額は7.0兆円で、昨年の5.7兆円を上回る」、「決算発表後〜株主総会前は自社株買いが進むケースも多い」と指摘しています。つまり、6月の東京株式市場の需給は良好といえるでしょう。

以上のことから、日経平均は、25日移動平均ベースのボリンジャーバンドプラス1σ(10日現在27692.65円)とプラス2σ(同28369.39円)との間での「バンドウォーク」がメインシナリオです。サブシナリオは、25日移動平均線(同27015.91円)までの調整です。引き続き、ジャンピングキャッチには十分注意して、上昇トレンドの中での「押し目買い」に徹して、リスク管理を行うことを推奨します。

短期ディーリング向けの物色に関しては、バイオ、NFTゲーム(仮想通貨の「ブロックチェーン技術」をベースに開発されたゲーム)、メタバース、原発再稼働、インバウンド、チタニウム関連などに引き続き注目しています。そして、25日・75日・100日移動平均線が「上昇のパーフェクトオーダー」になっていることは買い銘柄の必須条件との考えは不変です。くれぐれも、「逆張り的に弱い銘柄」を狙うのではなく、「テーマ性を有する強い銘柄」に乗って儲けることを心掛けてください。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

一覧に戻る

ヘルプ

当サイトに多く寄せられるご質問を項目ごとにまとめました。各種サービスについてもご案内しています。

質問と回答一覧

お問い合わせ

ヘルプで解決できない問題や、直接サポートセンターとやり取りをしたい場合はこちらをご利用ください

お問い合わせ