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2022年9月2日

相場の見立て・展望(9月2日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
前回当コラムで、“仮に、26日に予定されるパウエルFRB議長の講演で、金融引き締めに前向きな「タカ派」姿勢が強く打ち出されたとしても、日経平均の下値は限定的とみています。というのは、8月18日~24日まで5日続落で、「パウエル議長のタカ派発言」を織り込んだ可能性が高いとみているからです。”としました。しかしながら、この読みは完全に外れました。パウエル議長の講演前にも、FRB高官のタカ派発言が相次いでいたにもかかわらず、市場は「パウエル議長のタカ派発言」を全く織り込んでおらず、むしろ「FRBは早ければ来年から利下げに転じる」という楽観に傾いていたようです。

パウエル議長は米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での8月26日の講演で、景気の下支えよりも物価抑制を最優先して金融引き締めを続ける姿勢を明確に示しました。これを受け、26日のNYダウは3日ぶりに大幅反落し、前日比1008.38ドル安の32283.40ドルでした。下げ幅、下落率ともに今年3番目の大きさでした。また、ナスダック総合株価指数も3日ぶりに大幅反落し、前日比497.555ポイント安の12141.710ポイントでした。

ところで、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、ブルームバーグ通信のインタビューで、29日、「講演への(市場の)受け止めを見て、私は素直にうれしかった」、「インフレを2%に戻すことに対する我々の真剣度が理解された」と語りました。また、30日はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁がイベントで、金融引き締めは「来年まで続く」、「(インフレ抑制のため実質金利を)プラスにする必要がある」と述べました。そして、クリーブランド連銀のメスター総裁は31日の講演で、「来年の早い時期までに政策金利を4%を超える水準まで引き上げる」、「来年の利下げは見込んでいない」と述べました。

ジャクソン会議後も、このように地区連銀総裁によるタカ派発言が相次いでいます。このため、9月1日のNYダウは5日ぶりに反発したものの、ナスダック総合株価指数は5日続落し、同31.077ポイント安の11785.126ポイントで取引を終えました。ちなみに、9月1日の米10年物国債利回りは前日比0.06%高い3.25%で取引を終えました。一時は3.29%と約2カ月ぶりの高水準を付ける場面がありました。米国株式市場では、長期金利の上昇局面で相対的な割高感が意識されやすい高PERのグロース株への売り圧力が強まっています。

一方、FRBの金融引き締めが長期化するとの見方から、米金利の先高観が強まっているため、9月1日の外国為替市場では1998年8月以来、約24年ぶりに1ドル=140円台に下落しました。大規模金融緩和策を堅持する日銀と、インフレ退治を最優先に金融引き締めを着々と続ける方針のFRBとの金融政策の方向性の違いが一段と明確となり、円売り・ドル買いが優勢となっているからです。

FRBが米国株の上昇を不快に思っている可能性が高いため、当分、米国株の上値は重い状況が続くことでしょう。ウォール街の有名な相場格言に「Don’t Fight the Fed(FEDと戦うな)」というものがあります。これは、「FEDが金融を引き締めるときは、株は買うな」という意味です。

一方、日本は円安が外需企業の収益にポジティブに作用しますし、日銀は金融緩和を継続し、その日銀は日本株の上昇を不快に思うことはないでしょう。このため、日本株は相対的に米国株よりも、強い動きとなりそうです。ただし、米国株が急落するようなら、日本株も流石にその影響を受ける見通しです。少なくとも、9月9日の日経平均先物・オプション9月限のメジャーSQ、若しくは、米国の9月16日のクアドルプル・ウイッチング・ディ(QWD)までは、日米株式市場共に不安定な値動きが続く可能性が高いと覚悟しておきましょう。ジョージ・ソロス氏の「まずは生き残れ!儲けるのはそれからだ!」を前提にしたスタンスで、相場に臨むことをお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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