前回当コラムで、日経平均については、「10月13日の26237.42円を起点としたリバウンドは、11月11日の28329.54円でいったん終了した可能性が高い。押し目メドは最大で200日移動平均線。」に、メインシナリオを変更しました。このシナリオ変更は、FRBによる利上げの減速観測が後退したことが主因でした。
しかしながら、11月23日に公表された11月開催分のFOMCの議事要旨で、多くの参加者が利上げの減速を支持していることが判明したため、メインシナリオを変更します。日経平均については、「11月21日の27846.30円を起点としたリバウンドが発生した可能性が高い。戻りメドは最大で8月17日の29222.77円。ただし、27846.30円を割り込んだら、シナリオを再考する予定。」とします。
以前から繰り返し述べていますが、米国の金融市場が、あまりにも楽観ムードを強めるようだと、冷や水を浴びせるようなFRB高官からの発言が飛び出すことは、今後も十分あり得ると警戒はしておく必要はあります。そうは言っても、11月23日の米10年物国債利回りは前日比0.07%低い3.69%で取引を終えました。この日は、11月開催分のFOMCの議事要旨公表を受け、次回12月のFOMCで利上げ幅を0.5%に縮めるとの見方が強まったことが、債券の買い材料になりました。
このように長期金利が低下傾向となっている間は、米国株式場は堅調に推移する見通しです。こうなると、米国株式市場では、半導体関連銘柄など高PERのグロース株が物色の中心になるでしょう。このため、米国では、ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数が強い動きを続けるはずです。そして、日本では、東証マザーズ指数や東証グロース市場指数が、連動して強い値動きとなるとみています。
実際、11月25日の東証マザーズ指数は続伸し、終値は前日比3.04ポイント(0.38%)高い799.62ポイントと、4月6日以来およそ7カ月半ぶりの高値を付けました。5日移動平均線(25日現在788.39ポイント)、25日移動平均線(同756.18ポイント)、75日移動平均線(同736.90ポイント)、100日移動平均線(同725.52ポイント円)、200日移動平均線(同716.10ポイント)全て上回っています。このように、短期・中期・長期の全てのスパンでのチャートが良好です。今後に関しては、指数が5日移動平均線を割り込み、且つ、5日移動平均線が下向きに転換するまで、堅調に推移する見通しです。
ご存じの通り、米国では、11月24日は感謝祭、25日は「ブラック・フライデー」で年末商戦が本格的に開始されます。そして、来週以降は、海外投資家も本格的に市場に回帰してきます。日米株式市場共に活況相場を期待したいところです。少なくとも、日本に関しては12月9日の先物・オプションのメジャーSQまで、米国に関しては12月16日のクアドルプル・ウィッチングデーまで、12月相場が盛り上がるとみています。このため、引き続き、「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略にした上で、積極的な市場参加を引き続きお勧めします。そして、物色に関しては、米長期金利が低下傾向を示す限り、グロース株を中心に狙うべきと考えています。
2022年11月25日
相場の見立て・展望(11月25日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。