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2022年12月9日

相場の見立て・展望(12月09日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
12月8日の米10年物国債利回りは前日比0.06%高い3.48%で取引を終えましたが、前日7日には一時、3.40%と、9月中旬以来の低水準に下がる場面がありました。7日に関しては、同日、週間の米石油在庫統計が発表され、石油製品の在庫が市場予想より増えていたことで、米国の景気が一段と減速しているとの懸念が強まり、債券に買いが入りました。翌8日は、9日に11月のPPIの発表を控えていたこともあり、利益確定売りが出たようです。

米国に関しては、13日には11月のCPI、14日にはFOMCの結果が発表される予定です。市場では、CPIがFRBの金利見通しを左右する可能性があるため、発表数値への関心が非常に高い状態です。また、FOMC後に公表される委員らの来年の政策金利見通しについては、今回の利上げ局面での政策金利の最終到達点(ターミナルレート)が高くなる可能性が指摘されています。このため、12月7日までの米国株式市場は上値の重い、軟調な展開でした。

しかしながら、8日のNYダウは続伸し、前日比183.56ドル(0.55%)高の33781.48ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は5日ぶりに反発し、同123.45ポイント(1.13%)高の11082.00ポイントでした。8日の米株式市場の良好な値動きをみる限り、どうやら、市場は、CPIやFOMCの最悪の結果(「CPIの市場予想からの上振れ」)&「FOMC後もFRBがタカ派姿勢を維持すること」)をほぼ織り込んだとみてよさそうです。

よって、来週に関しては、「腰を抜かすようなサプライズが発生しない限り、米国株式市場は波乱なく推移する。そして、イベント通過後は、不透明感が大幅に後退し、更に堅調に推移していく」というのが、現時点でのメインシナリオです。

ところで、日本では、12月5日に「エニカラショック(ANYCOLORショック)」が発生しました。12月2日、SBI証券のホームページにANYCOLOR(5032)の「立会外トレード」のスケジュールが掲載されました。実施予定日はロックアップが解除される12月5日でした。取引価格は2日の東証終値の10520円から5%安い9994円で、株数は100万株と発行済み株数の3%強に相当する大規模なものでした。ロックアップの解除早々に100万株もの大量の株式が売りに出されることがいきなり発表されたことは、多くの個人にとって寝耳に水で、まさに「ネガティブサプライズを伴う事件」でした。

そして、ANYCOLORは需給悪化懸念から、売りが売りを呼ぶ展開となりました。12月5日は前日比1840円安の8680円で取引を終えました。その後も軟調に推移し、8日には一時7250円まで下落する場面がありました。ANYCOLORは、最も人気の高いグロース株の一つです。この人気株が急落に見舞われたので、他の人気株や、ANYCOLORと同じような直近IPO銘柄も、容赦ない換金売りを浴びました。これが「エニカラショック(ANYCOLORショック)」です。

ですが、12月9日のANYCOLOR株の終値は7440円と、下げ止まりつつあります。このため、「エニカラショック」を、市場は、ほぼ完全に織り込んだとみてよさそうです。

当面の物色対象としては、グロース株に注目しています。というのは、米国の長期金利が低下傾向だからです。ただし、日本株全体については、日経平均(9日終値27901.01円)が、200日移動平均線(同22171.97円)を割り込むようだと、弱気相場に突入する可能性が高まるため、そのケースでは、大型株も中小型株も、バリュー株もグロース株も、基本、現金化を急ぎ、守備力高めにすることをお勧めします。

また、日本の12月相場に関しては、個人からの節税売りが断続的に出る見通しです。このため、チャートが崩れ(株価が25日移動平均線を下回って、且つ25日移動平均線が下向き等)、信用買い残が積み上がっている、6月~7月が高値で今後、信用高値絶対期日を迎える銘柄群については、少なくとも、年内受け渡し最終日の12月28日を通過するまでは、アンタッチャブルだと思います。結論として、チャートが綺麗で、需給良好で、「強い値動きの銘柄(今後のIPO銘柄も含む)」だけを弄ることを、強くお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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