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2023年1月13日

相場の見立て・展望(1月13日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
昨年12月の米雇用統計では、平均時給が前月比0.3%上昇と、市場予想の0.4%上昇を下回り、物価高につながる賃金インフレの鈍化が示されました。昨年12月のISM非製造業景況感指数は先月から6.9ポイント低い49.6となり、好不況の境目となる50を2年7カ月ぶりに下回り、市場予想の55.1も大幅に下回りました。これらを受け、FRBの金融引き締めペースが鈍化するとの期待が高まりました。

また、1月12日発表の昨年12月の米CPIは前年同月比では6.5%上昇と、上昇率は11月の7.1%から低下しました。食品とエネルギーを除いたコア指数は5.7%上昇でした。いずれも市場予想に一致しました。これを受け、12日の米10年物国債利回りは前日比0.10%低い3.44%で取引を終えました。一時は3.42%まで低下し、昨年12月上旬以来の低水準を付ける場面がありました。長期金利低下を好感する格好で、12日のNYダウは3日続伸し、前日比216.96ドル高の34189.97ドルと、昨年12月上旬以来の高値で取引を終えました。また、ナスダック総合株価指数は5日続伸し、同69.43ポイント高の11001.11ポイントでした。

一方、日本では、12日には「日銀、大規模緩和の副作用点検へ…年末の政策修正後も市場金利にゆがみ」との一部報道がありました。当該記事によれば「1月以降は長期金利が上限で推移するほか、償還期限のさらに短い金利も上昇しやすく、日銀の狙いと異なる金利の動きがみられる。国債の購入量の調整などで市場のゆがみを是正できるかを見極める。必要な場合は追加の政策修正を行う。」ということです。この報道を受け、日銀がYCCを見直し、長期金利の上限を引き上げるとの思惑から、12日のNY外国為替市場で円相場が対ドルで一段と上昇し、昨年6月1日以来、およそ7カ月ぶりに128円台に上昇する場面がありました。そして、13日の東京外国為替市場でも、128円台へ円高が進みました。

米国の賃金インフレ鈍化、景況感悪化(景気減速)、CPI伸び鈍化、FRBの金融引き締めペースの鈍化期待、そして、米長期金利の低下基調は、日米株式市場共にポジティブ材料です。しかしながら、日銀の金融政策変更リスクの高まりを背景にした「円高」は、我が国輸出企業の収益にネガティブです。同時に、電機・ハイテク株指数の色彩の強い日経平均にも逆風です。こうなると、目先買えるセクターは、利ざや改善期待できる銀行セクターや、運用環境改善が期待できる保険セクター、そして、金融収支改善が見込める「キャッシュ・リッチ企業」ということになります。

ちなみに、1月13日、ブルームバーグが「元日本銀行理事の早川英男氏(東京財団政策研究所主席研究員)は、日銀が今月の金融政策決定会合で追加的な金融緩和策の修正に動く可能性は低いとする一方、今春に発足する新体制の下で年内にもイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)が撤廃されると予想した。」と報じています。

なお、13日の国内債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇し、一時0.545%と日銀が上限とする「0.5%程度」を上回りました。日銀が、1月17~18日の金融政策決定会合で政策修正に動くとの思惑から、国債が売られた結果です。ちなみに、前日の1月12日には1日として過去最大となる4兆6000億円超の国債を市場から買い入れました。このように、日銀は金利上昇を抑え込む姿勢を全く崩していません。多くの投資家は、政策修正リスクに神経質になっているため、今回の会合の結果が出るまでは、東京株式市場では、様子見気分が強い状況が続く見通しです。

それはさておき、1月13日の日経平均は26119.52円でした。5日移動平均線(13日現在26232.95円)、25日移動平均線(同26788.62円)、75日移動平均線(同27171.29円)、100日移動平均線(同27414.78円)、200日移動平均線(同27274.75円)全て下回っています。1月4日の大発会の25661.89円を起点としたリバウンドは、1月12日の26547.61円で終了したようです。今後については、「5日移動平均線を上回る」までは、大発会の25661.89円を目指す調整がメインシナリオです。逆に、今後、「5日移動平均線を上回り、且つ、5日移動平均線自体が上向き」の状況となるならば、1月12日の26547.61円を目指すリバウンドの発生を想定しています。

前回の当コラムでも述べましたが、大事なことなので繰り返します。2023年も2022年同様、日米株式市場共に「ベアマーケット」が続くことを前提に、「慎重スタンス」で相場に臨むことをお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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