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2023年2月17日

相場の見立て・展望(2月17日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
2月16日のNYダウは反落し、前日比431.20ドル安の33696.85ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落し、同214.759ポイント安の11855.834ポイントでした。この日は、1月のPPIの上昇率が前月比0.7%と市場予想の0.4%を上回り、インフレ圧力の根強さを示したため、FRBによる利上げ停止や利下げ転換の時期が遠のくとの見方が強まり、リスクアセットである「株式」が売られました。

ちなみに、2月14日発表の1月の米CPIは前年同月比6.4%の上昇でした。上昇ペースは昨年6月に9.1%と1981年以来の高水準を記録してから7カ月連続で鈍化しています。しかしながら、昨年12月の上昇率は6.5%でした。つまり、インフレは歴史的な高水準からは確かに下がってはいるものの、低下ペース自体は鈍化しています。これはインフレファイターであるFRBにとっては、インフレ封じ込めに対して、利上げの効果が十分に効いていないと感じている状況と言えそうです。

実際、米金融当局の最もタカ派の2人が2月16日、将来的により大幅な利上げに戻すことを支持する可能性を示しました。まず、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「政策金利を5%超に引き上げ、しばらくはそこにとどめる必要がある」と述べました。また、セントルイス連銀のブラード総裁は、次回3月のFOMCで0.5%の利上げを排除しない考えを示しました。

FRB高官らのタカ派発言を受け、2月16日の米10年物国債利回りは前日比0.06%高い3.86%で取引を終えました。一時は3.87%と昨年12月以来の高水準を付ける場面がありました。この長期金利の上昇は、高PERのグロース株への強烈な逆風です。よって、当面はナスダック総合指数の上値は重い状況が続く見通しです。その影響で、日本では、電機・ハイテク株指数の色彩の強い日経平均や、グロース株指数の代表格のマザーズ総合指数も調整色が強まりそうです。

一方、低PER、低PBR、高配当利回りのバリュー株は物色され易い環境になったとみています。ちなみに、1月30日、東証は、「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理及び論点整理を踏まえた東証の対応について」を発表しました。これによれば、「特に、継続的にPBRが1倍を割れている(すなわち、資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、あるいは、資本コストを上回る資本収益性を達成しているものの将来の成長性が投資者から十分に期待されていないと考えられる)会社に対しては、改善に向けた方針や具体的な取組などの開示を求めていくべき。あわせて、投資家からの評価をさらに強く意識づける観点から、進捗状況の開示も促していくべき」としています。

このため、今後、PBR1倍割れの企業が、様々な株価対策を講じてくる可能性が高そうです。具体的には、「自社株買い」、「増配」、「配当性向の引き上げ」、「株主優待の新設・拡充」、「資本コストを上回る資本収益性を達成するためのロードマップ」などをまとめる見通しです。このため、PBR1倍以下、低ROEながら、配当余力が十分にある銘柄をスクリーングして、銘柄を選定することをお勧めします。

なお、2月17日の日経平均は27513.13円でした。5日移動平均線(17日現在27548.30円円)を下回りました。一方、25日移動平均線(同27242.31円)、75日移動平均線(同27308.50円)、100日移動平均線(同27189.04円)、200日移動平均線(同27257.53円)全て上回っています。今後については、17日時点で、「5日移動平均線を下回り、且つ、5日移動平均線自体が下向き」となっているため、まずは25日移動平均線を目指すとみています。また、25・75・100・200日移動平均線が非常に狭いレンジで密集しています。

今後、このレンジを下抜けるようだと、けっこうな値幅を伴った下落が発生することは警戒しておきましょう。中長期の移動平均線を割り込むケースでは、短期筋のみならず、中長期スタンスの投資家も、売ってくる可能性があるからです。特に、信用買い残が積み上がり、チャートが悪化(例えば、株価<下向きの5日移動平均線<下向きの25日移動平均線のようなチャート)した銘柄は要注意だと思います。

結論として、日経平均のチャートが改善するまでは、「ディフェンス重視の運用スタンス」で、相場に臨むことを強くお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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