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2023年5月12日

相場の見立て・展望(5月12日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
イエレン米財務長官は5月11日、G7財務相・中央銀行総裁会議で訪れた新潟市で記者会見し、「米議会が債務上限の引き上げ交渉に失敗してデフォルトに陥った場合は、世界的な景気後退の火種になるだろう」と警鐘を鳴らしました。また、イエレン氏は早ければ6月1日にも米政府の資金繰りが行き詰まると改めて指摘しました。米紙「ワシントン・ポスト」は、デフォルトが起きると、国民への社会福祉費の支払いが滞るほか、公務員や軍人への給料支払いが滞るなど政府停止状態に陥る可能性があると報じています。

一方、米政府は5月11日、12日に予定していたバイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の会談を延期し、来週早々に開くことで合意しました。バイデン氏は、共和との交渉次第では、19〜21日に日本で開くG7広島サミットへの対面出席が厳しくなる可能性に言及しています。

なお、欧州の主要格付け会社スコープ・レーティングスは、5月5日、「AA」としている米国の現地通貨・外貨建て長期発行体および無担保優先債務格付けを格下げ方向で見直すと発表しました。保守とリベラルとの政治的な分断の深まり、ねじれ議会(下院の多数党と大統領の所属政党が異なる議会の状況)、今後数年の財政赤字拡大見通しなどを、格付け見直しの理由に挙げました。

現時点での「債務上限問題」に対する市場の大方の見方は、「イエレン氏の指摘しているXデー(6月1日)より前に共和、民主両党が妥結に至る公算は小さい。しかしながら、両党は土壇場で折り合いを付ける可能性が高く、結局、米国債がデフォルトすることはないだろう」というものです。ただし、協議が難航・長期化し、「Xデー」が接近し、強く意識されるようになると、市場は激しく動揺する可能性があります。政治色の濃い今回の交渉は、これまでの何回かの債務上限協議に比べ危険なものになりつつあるとの指摘があるので、今後の協議の進展の行方には注意が必要だと思います。

ところで、国内では、週明け15日で、決算発表が一巡します。今後は、発表された内容次第で、買われる銘柄がある一方で、売られる銘柄も出る可能性が高く、「物色の2極化」が鮮明になる見通しです。

ですが、5月8日に、新型コロナの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行したことで、今後、我が国の経済社会活動の正常化が進むことや、インバウンド(訪日客)回復が見込めるため、日本の景気回復期待は高まっています。また、ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが5月6日、年次株主総会を開き、バフェット氏が「台湾より日本のほうが良い投資先だ」、「日本での投資は完了していない。これからも投資先を探していく」などと語っています。そして、5月第1週(1~2日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家は6週連続で買い越しました。買越額は1602億円でした。

「景気改善期待」、「バフェット氏の高評価」、そして、「海外投資家の継続買い」を考慮すると、米国債のデフォルトなど、ネガティブサプライズが発生して、外部環境が劇的に悪化しない限り、日本株の下値は堅いとみています。よって、引き続き、決算を無事に通過した銘柄のうち、あなた自身が「これは買いだ」と判断した銘柄に、狙いを絞ってポートフォリオを構築していくプランをお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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