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2023年7月21日

相場の見立て・展望(7月21日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
日経平均は7月12日の安値31791.71円を起点にして、7月19日に32896.03円までリバウンドしました。しかしながら、買い一巡後は失速しました。ちなみに、19日は前日比402.14円高、20日は同405.51円安、そして、週末21日は同186.27円安でした。極めて不安定で、全体的に方向感がなくなっています。現状については、「上昇トレンド」も「下降トレンド」も発生しておらず、「横這いトレンド(もみあい)」が発生中と認識しています。今回のもみあいの想定レンジは前述の31791.71円が下値メド、25日移動平均線(21日現在32877.99円)が上値メドとみています。

なお、20日から日経平均が急に軟調に変化した主因は、半導体関連株が売られたからです。半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)が、20日午後に発表した23年4~6月期決算は約4年ぶりの減収減益でした。7~9月期の売上高見通しは市場予想を下回り、あわせて23年12月期通期の見通しも下方修正したことで、日米株式市場で、半導体関連株が軒並み売られました。まさに、「TSMCショック」の様相を呈したのです。

ですが、相場全体がパニック的に売られているのではなく、あくまでも「半導体セクター」だけに限った売り材料だったと認識しています。というのは、確かに、20日の東証プライム市場の値上がり銘柄数は1264、値下がり銘柄数は497と、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。しかしながら、翌21日は、日経平均は続落したにもかかわらず、値上がり銘柄数は777、値下がり銘柄数は967と、全面安とはなっていないからです。

ところで、日銀は7月27、28日に金融政策決定会合を開きます。外国為替市場や株式市場では、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)について、現状0.50%程度とする長期金利の上限を引き上げるか、または撤廃するとの思惑が燻り続けています。ただし、植田日銀総裁は7月18日、持続的・安定的な2%の物価目標達成には「まだ距離があるという認識がこれまであり、YCCのもとで粘り強く金融緩和を進めてきた」、「前提が変わらない限りは全体のストーリーは不変だ」と語りました。このため、現時点では、政策修正の観測がやや和らいでいます。

その一方で、総務省が21日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が前年同月比3.3%上昇しました。日本の物価が高止まりしていることが示されました。このため、今回の会合では、政策の修正を見送ったとしても、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、4月時点で23年度を1.8%、24年度を2.0%、25年度を1.6%としていた物価見通しを、引き上げる可能性が高いでしょう。また、会合後の記者会見で、植田総裁が、9月会合以降での金融政策の修正に含みを持たせる可能性もあります。

ちなみに、市場で意識されている修正の具体策は、変動許容幅を現在の0.5%程度から再び拡大させたり、操作する金利の対象を現在の10年よりも短い年限に変更する、そして、YCC自体の撤廃などです。いきなりYCCの撤廃に動くとは思えませんが、9月、10月、12月の会合で、変動許容幅の拡大や短い年限への変更を、日銀が決断する可能性は高いとみています。

なお、21日の東証グロース市場指数は前日比13.77ポイント(1.39%)安の978.76ポイントでした。一方、東証プライム市場指数は同0.67ポイント(0.06%)高の1164.16ポイントでした。このことから、当面は、グロース市場上場銘柄は避けて、プライム市場上場のバリュー系大型株を狙うことをおすすめします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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