2月2日の日経平均は反発し、終値は前日比146.56円(0.41%)高の36158.02円でした。前日の米株式市場で主要株価指数が上昇した流れを受けて海外短期筋とみられる株価指数先物への買いが断続的に入り、日経平均を押し上げました。日経平均への寄与度が高い半導体関連などが軒並み高となったことが追い風となりました。ちなみに、2月1日のNYダウは反発し、前日比369.54ドル(0.96%)高の38519.84ドルで終え、1月30日に付けた過去最高値を更新しました。
1日の米国株については、米長期金利の低下が好感されました。米10年物国債利回りは前日比0.03%低い3.88%で取引を終えました。一時は3.81%と約1カ月ぶりの水準に低下する場面がありました。1日発表の週間の米新規失業保険申請件数が22万4000件と、市場予想の21万4000件を上回り、2023年11月中旬以来の高水準となりました。また、2023年10〜12月期の労働生産性指数(速報値)が市場予想以上に上昇し、企業の賃金負担などを示す単位労働コストの伸びが市場予想を下回ったことも、米債券高の材料になりました。
ですが、前日の1月31日のNYダウは5営業日ぶりに反落し、前日比317.01ドル(0.82%)安の38150.30ドルでした。FRBが1月31日まで開いたFOMCの声明などで早期の利下げに慎重な姿勢を示したことが嫌気された結果です。FOMC後の記者会見でパウエル議長は、利下げを始める時期について「3月会合の時までに確信に至っているとは考えにくい」と述べました。また、米地銀のニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が1月31日に発表した四半期決算が赤字となりました。商業用不動産向け融資の焦げ付きに備えて多額の引当金を計上したことが主因です。このため、米地銀の業績悪化懸念が広がる可能性が意識され、31日に続いて1日の米株式市場でもNYCBや他の地銀株への売りが続きました。
このような状況のため、米株式市場は堅調ながらも、上値の重い展開を余儀なくされそうです。円相場については、米長期金利が低下し、日米金利差の縮小が円を支えているものの、米地銀の経営状況を巡る不透明感からも低リスク通貨とされる円が買われ易くなっています。この円高基調は日本株にマイナスに作用する見通しです。
日経平均については、1月23日の36984.51円が直近高値との認識です。現在は、これを高値とした調整局面が続いているとみています。押し目限界は25日移動平均線(2日現在35189.77円)です。ただし、年初からの急騰により、需給関係は、圧倒的に買い方有利・売り方不利です。このため、日本株については、「上がり易く、下がり難い」状況が続く見通しです。このため、「押し目は買い」という意識で相場に参加するべきと考えます。ただし、残念ながら、個人投資家好みの小型・グロース株には資金がきていません。このため、当面は、決算発表を無事に通過した、優良大型株に注力することをおすすめします。
2024年2月2日
相場の見立て・展望(2月2日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。