4月19日の日経平均は急落し、終値は前日比1011.35円(2.66%)安の37068.35円でした。下げ幅は今年最大でした。一時は、前日比1346.64円(3.54%)安の36733.06円を付けました。日本時間午前10時すぎに中東の複数メディアが「イラン領内の複数箇所で爆発があった」と伝え、東京株式市場では、中東情勢の緊迫化を受けたリスク回避の売りが一気に膨らみました。万が一、世界の石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡に面するイラン本土が戦火に巻き込まれたら、石油供給に支障が出るとの懸念が強まったので、投資家は買いポジションを慌てて落としたのです。
しかしながら、その後時間の経過とともに正確らしい情報が伝わると、市場は冷静さを取り戻し、パニック商状ではなくなっていきました。正確らしい情報とは、例えば、「イスラエルによるイランへの攻撃が限定的で、イランの核施設が無事だった。」、「イランメディアは、イスファハンで爆発音があり、これはドローン3機が撃墜された爆発音だと発表した。ABCニュースは先に、米高官の話として、イスラエルがイランの標的にミサイル攻撃を開始したと報じていた。」、「イスラエルのミサイル攻撃は軍事基地が対象で、核施設への攻撃ではないし、市民への攻撃はしていない。また、米国は、エスカレーション抑制に必死だ。」などです。
なお、19日の取引終了後、「【テヘラン共同】イラン軍事筋は19日、共同通信の取材に、中部イスファハンが無人機による攻撃を受けたことに関し、イスラエルへの再攻撃は「現時点では検討していない」と語った。」との報道を確認しました。よって、イランとイスラエルの紛争関しては、事実上のプロレス(茶番)で、19日の攻撃をもって一件落着したとみています。
ところで、4月12日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3週連続で増え、4兆5953億円と、2006年7月以来およそ18年ぶりの高水準を更新しています。その後、4月第3週(15~19日)の日経平均は週間で2455.20円(6.21%)も下落しているため、4月第3週において、信用買い方の手の内は相当悪化したはずです。今後については、信用買い残が積み上がり、且つ、株価が25日移動平均線を下回るなど、チャートが悪化した銘柄に関しては、信用買い方の手仕舞い売りが断続的に出てくることが予想されます。このため、新規で株を購入する際には、「信用買い残」と「チャート」を今まで以上に入念にチェックしてください。
最後に、日本株については、4月に入って冴えない相場が続いています。しかしながら、現在は「中長期の上昇トレンドの中での短期的、且つ、健全な調整局面」と認識しています。よって、現在の押し目の場面では、弱気になることなく、「絶好の買い好機到来」と前向きに捉えた上で、投資行動をとっていただきたいと思っています。
2024年4月19日
相場の見立て・展望(4月19日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。