５月９日のＮＹダウは７日続伸し、前日比331.37ドル（0.84％）高の39387.76ドルと、４月１日以来の高値を付けました。景気敏感株や金融株の上昇がＮＹダウを押し上げました。ナスダック総合株価指数は３営業日ぶりに反発し、同43.51ポイント（0.27％）高の16346.26ポイントでした。９日発表の週間の米新規失業保険申請件数は23万1000件と、市場予想の21万4000件を上回りました。米労働市場の需給が均衡に向かい、ＦＲＢが利下げに動きやすくなるとの見方が強まりました。この結果、ＮＹ債券市場で長期債相場は上昇し、米10年物国債利回りは前日比0.03％低い4.45％で取引を終えました。これが米国の株高材料となりました。

また、９日の欧州ではドイツＤＡＸ指数が５日続伸し、前日比188.22ポイント（1.02％）高の18686.60ポイントと、前日に続き、最高値を更新しました。ロンドン株式市場では、ＦＴＳＥ100種総合株価指数が５日続伸し、前日比27.30ポイント（0.33%）高の8381.35ポイントと、５日連続で最高値を更新しました。そして、ストックス600指数（ヨーロッパ先進国における証券取引所上場の上位600銘柄により構成される株価指数）は続伸し、終値は前日比1.00ポイント（0.19％）高の516.78ポイントと最高値を更新しました。

このように９日の欧米株式市場は非常に強い動きでした。しかしながら、10日の東京株式市場では、日経平均の終値は前日比155.13円（0.41％）高の38229.11円と、３日ぶりに反発したものの、９時40分の高値38741.88円からは、大幅に上げ幅を縮めました。市場では、「仮需（裁定買い+信用買い）」の反対売買による売り圧力が強く意識されています。
東証が9日発表した2日時点の裁定取引に伴う現物株式の買い残高（期近・期先合計）は金額ベースでは前週末比100億円減の2兆20億円と、5週連続で減少しました。日経平均の先高観が後退し、1〜3月に構築された裁定買い（先物売り+現物買い）の解消売り（先物買い+現物売り）が進んでいます。なお、2兆20億円という買い残高は、3月8日時点以来、約2カ月ぶりの低水準です。このため、今後、裁定解消売り圧力は弱まっていく見通しです。

一方、東証が8日発表した、2日申し込み時点の信用取引の買い残高（東京・名古屋２市場、制度信用と一般信用の合計）は4兆6836億円と、4月26日申し込み時点比495億円減でした。減少は2週連続ですが、依然として高水準を維持しています。また、信用倍率は6.77倍と高水準です。そして、信用評価損益率は2日申し込み時点でマイナス6.43％と、前週のマイナス6.12％からマイナス幅が0.31ポイント拡大しました。将来の売り予約である信用買い残高が高水準を維持したままで、信用倍率も高止まりしています。つまり、信用需給は非常に悪いのです。これに加えて、買い方の手の内が悪化しています。このため、個別株に関しても、信用買い残が積み上がり、チャートが悪化（例えば、株価が25日移動平均線を下回り、且つ、25日移動平均線自体が下向き等）の銘柄はアンタッチャブルです。

なお、日本では、５月15日まで上場企業の決算発表ラッシュが続きます。足元では、「ガイダンスリスク（企業の業績見通しが慎重なために株価が下がりやすいリスク）」が顕在化しています。このため、決算に対してよほどの自信がある銘柄、若しくは、どんな決算が発表されようとも保有を継続すると決めている銘柄以外は、「決算跨ぎ」を避けることをおすすめします。