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2024年5月24日

相場の見立て・展望(5月24日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
エヌビディアが、5月22日に2024年2〜4月期決算を発表しました。5〜7月期見通しは、売上高は274億4000万〜285億6000万ドルを見込み、下限でも市場予想の266億2000万ドルを大きく上回りました。さらに、効力発生日6月7日で、1株を10株にする株式分割も公表しました。申し分のない好決算でした。これを受け、23日の米株式市場でエヌビディアが反発し、一時は前日比10.5%高の1050.00ドルを付けました。終値は9.32%高の1037.99ドルでした。しかしながら、インテルが4.26%安となったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイスも3.08%下げました。つまり、エヌビディアの一人勝ちとなり、半導体セクター全体が買われる状況にはなりませんでした。

ところで、5月23日のNYダウは続落し、前日比605.78ドル(1.53%)安の39065.26ドルと、1日の下げ幅として2023年2月以来の大きさとなりました。また、ナスダック総合株価指数も0.39%安の16736.03ポイントと軟調でした。23日の米国株下落の主因は、米金利の上昇です。米10年物国債利回りは前日比0.06%高い4.48%でした。金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは一時4.95%と3週間ぶりの高水準を付けました。米金利上昇のきっかけは、週間の新規失業保険申請件数が21万5000件と、市場予想の22万件以下だったことに加え、5月の米PMI速報値の総合が54.4と4月の51.3から改善したことです。強い経済指標の発表を受け、市場では、FRBが2024年夏から秋にかけて利下げするとの見方が後退しました。この結果、米債券が売られ、米株式も売られました。

23日の米国株安を受けて、24日の日経平均は前日比457.11円(1.17%)安の38646.11円でした。日本株に関しては、日本のマクロ環境が悪いことが上値を圧迫しています。5月16日発表された2024年1~3月期四半期別GDP速報 (1次速報値)では、2024年1~3月期の実質GDPの成長率は、マイナス0.5%(年率マイナス2.0%)でした。つまり、直近の日本の景気が悪化しつつあることがわかりました。

それはさておき、5月22日、ブルームバーグが「セル・イン・メイ封じる記録的自社株買い、日本株再浮上を促す可能性」と題した記事を配信しました。これによれば「4月から5月15日までに東証株価指数(TOPIX)の構成企業が発表した自社株買いの総額は6兆3000億円と過去最高水準に膨らんだ」、「5月第2週から6月中旬にかけて事業法人の買いが増える傾向が過去5年間のデータで明らかになっている」とのことです。よって、この過去最高水準の自社株買いが日本株の下値を支え続ける見通しです。

ただし、5月31日には、MSCIの定期銘柄見直しに伴う、パッシブ連動資金のリバランスに伴う売買インパクトが見込まれています。大和証券によれば「MSCI JAPANに関しては約1950億円の資金流出が予想される」とのことです。この売り圧力は来週の上値圧迫要因です。

以上のことから、下値は自社株買いがサポートするものの、日本の景気がよろしくないことに加え、MSCIの定期銘柄見直しの影響も懸念されるので、来週の日本株が上値を追うには、米国株の急騰などの強烈な好材料が必要とみています。そのような追い風が吹かないと、日本株は膠着を続けることでしょう。よって、株価指数の影響を受け難い、好業績の個別株を粛々と物色するしか、儲ける手段はないと思います。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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