6月28日の東証グロース市場250指数は前日比7.06ポイント(1.06%)安の661.24ポイントでした。5営業日ぶりに反落しましたが、今週の東証グロース市場250指数は非常に強い動きだったと評価しています。一方、28日の日経平均は反発し、終値は前日比241.54円(0.61%)高の39583.08円でした。円相場が一時1ドル=161円台に下落するなど、外国為替市場での円安・ドル高が、輸出関連株の買い材料となり、日経平均を押し上げました。
ところで、6月27日のNYダウは小幅ながら続伸し、前日比36.26ドル(0.09%)高の39164.06ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は3日続伸し、同53.53ポイント(0.30%)高の17858.68ポイントでした。この日は、半導体関連の下げが目立ったものの、米長期金利に低下が米国の株高要因になりました。27日の米10年物国債利回りは前日比0.05%低い4.28%でした。5月の耐久財受注額が前月比0.1%増と4月の0.2%増から伸びが減速しました。変動の激しい輸送関連を除くと0.1%減でした。これで米景気減速が確認できたとして、債券が買われました。
なお、11月の米大統領選に向けた第1回のテレビ討論会が日本時間28日午前10時(米東部時間27日午後9時)から開催されました。これを受けた米CNNテレビの緊急世論調査では、67%が「トランプ氏が勝利」と回答しました。「バイデン氏勝利」は33%だったということです。世界的に選挙は水物とは言え、今回の米大統領選挙では、トランプ氏が勝利する可能性が高いという前提で、運用を行うべきでしょう。
それはさておき、目先の日本株には2つの需給面での懸念材料があります。ひとつ目はETFの分配金捻出に伴う売りです。大和証券の試算によれば、「先物・現物の売りが7月8日や10日に1.2兆円程度予想される」とのことです。ふたつ目が高水準に積み上がった信用買い残です。6月21日時点の信用の買い残は4兆9117億円と、2006年6月以来およそ18年ぶりの高水準となっているのです。信用買い残は将来の売り予約です。つまり、信用需給は非常に悪いと、みておく必要があります。
最後に、物色ですが、円安がメリットになる輸出関連株及びインバウンド関連に加え、半導体関連に注目しています。27日の米株式市場ではマイクロン・テクノロジーの決算が失望され、半導体関連全般が軟調でした。しかしながら、28日の東京株式市場では半導体関連の上昇が日経平均の上昇を牽引したからです。結論として、前述の需給懸念はありますが、円安等を追い風に、当面の日本株は底堅く推移する見通しです。信用需給の悪い、且つ、チャートが悪化している銘柄を避けることを大前提に、積極的な市場参加を推奨します。
2024年6月28日
相場の見立て・展望(6月28日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。