7月11日のNYダウは小幅に続伸し、前日比32.39ドル(0.08%)高の39753.75ドルでした。しかしながら、ナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに大幅反落しました。終値は前日比364.04ポイント(1.95%)安の18283.41ポイントでした。前日まで7日連続で過去最高値を更新し、過熱していたため、大型ハイテク株を中心に利益確定売りが出たためです。
この日発表された6月の米CPIは前月比0.1%低下しました。市場予想の0.1%上昇に反して、2020年5月以来となるマイナスとなりました。エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は前月比0.1%と、市場予想の0.2%を下回りました。前年同月比では3.3%と、2021年4月以来の低水準となりました。高止まりしていた家賃の上昇率が鈍化し始め、ようやく明確に、インフレが抑制されてきていることが確認できました。これを受け、FRBが9月に利下げに動くとの観測が強まり、米10年債利回りは一時4.16%と、約4カ月ぶりの水準に低下しました。この米長期金利の低下は本来ならばハイテク株への好材料ですが、この日に関しては「目先の好材料の出尽くし」となったようです。
ところで、「11日のニューヨーク外国為替市場の円相場が対ドルで急速に上昇し、一時1ドル=157円台半ばをつけたことに関し、政府関係者は日本政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入を実施したと明らかにした。」と、毎日新聞Web版が12日0時26分に報じています。ただし、鈴木俊一財務相は12日の閣議後記者会見で「為替介入の有無についてはコメントを控えるのが基本的な立場だ」と述べました。ですが、私は、非常に高い確率で介入があったと考えています。
11日のナスダックの大幅安と為替市場での円高を受けて、12日の東京株式市場では、日経平均は前日比1033.34円(2.45%)安の41190.68円と、4営業日ぶりに大幅に反落しました。米国株式市場同様に、東証プライム市場で、このところ上昇が目立っていた半導体関連株を中心に、主力株に利益確定売りが出た結果です。一方、東証グロース250指数は同21.27ポイント(3.24%)高の677.13ポイントと、大幅に続伸しました。これまで過熱気味に買われてきた東証プライム市場の主力株が利食い売りに押される中、相対的に出遅れていたグロース株を物色する動きが加速した結果です。
短期売買及びグロース株を好む個人投資家にとっての今後のベストシナリオは、プライム市場の主力株が時間及び値幅調整(健全な調整)をして過熱を冷ましている間に、グロース株が買われて出遅れ修正を行うという展開でしょう。そして私も、グロース株の本格的な自律反発相場の発生を、期待を込めつつ想定しています。
2024年7月12日
相場の見立て・展望(7月12日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。