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2024年8月9日

相場の見立て・展望(8月9日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
ここ最近の日経平均は、記録と記憶に残る急落・急騰劇を演じています。8月1日の日経平均は975.49円安、2日は2216.63円安、そして、5日は歴代1位の下落幅の4451.28円安を記録しました。下落率は12.40%で歴代2位でした。6日は一転して歴代1位の上昇幅の3217.04円高となりました。上昇率は10.23%で歴代4位でした。6日の急騰をもって、5日に付けた年初来安値の31156.12円が当面の底値になったとの見方が強まりました。その後の推移は、7日が414.16円高、8日が258.47円安、そして、9日は193.85円高の35025.00円で今週の取引を終えました。

日経平均の急落のきっかけは、7月31日の日銀の植田総裁の記者会見での発言でした。総裁は会見で、「引き続き金利を上げていくという考えでおります。その際に 0.5%は壁として意識されるかというご質問だったと思いますが、そこは特に意識しておりません」、「25bps に上がったといっても、非常に低い水準ですし、実質金利で考えれば、非常に深いマイナスであります。従って、強いブレーキが景気等にかかる、というふうには考えていないということです」などと述べました。

この植田総裁のタカ派発言を受け、「円キャリートレードの巻き戻し(解消)」が加速し、急激な円高と株価急落が発生しました。「円キャリートレード」とは、相対的に金利が低い円建てで資金を借り入れ、その資金を外貨に転換して運用する取引のことです。外貨に転換した資金は、外国債券や外国株式、商品先物などに向かいます。総裁発言をきっかけに円金利の先高観が急に強まったため、外貨での運用対象を決済し、その決済で得た外貨を、外国為替市場で円に転換(外貨売り・円買い)した後、円建て資金の借り入れを返済するというトレードが加速したのです。

急激な相場変動に驚いたのか、8月7日、内田真一副総裁は、「株価や為替相場が不安定な状況で利上げは行わず、当面は現行の金融緩和を維持する」と述べ、ハト派姿勢を明確にしました。副総裁が総裁のタカ派発言の火消しに走った格好です。これは日本株にはポジティブ材料でした。

また、8日に日経速報ニュースが「日本株、国内年金の買いか 7日のTOPIX先物手口で思惑」と題した記事を配信しました。当該記事によれば「野村証券によると6日時点で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株式のウエートは22%台半ばと、基本ポートフォリオであるウエート(25%)を3ポイント程度下回る。仮に基本ポートフォリオにウエートを戻す場合、国内債券など他の金融資産の価格が一定であれば、4〜5兆円の国内株式の買いが必要になる計算」とのことです。このような観測記事が伝わったことで、市場では、下値ではGPIFの買いが見込めるとの期待が高まっています。

今後に関しては、少なくとも、日経平均が200日移動平均線(9日現在36911.61円)を上回るまでは、中期的な調整局面が続くとみています。5日の31156.12円で底入れした可能性が高いとはいえ、市場のボラティリティが高いため、引き続きリスク管理を通常モードよりも厳しくして、「生き残ることを最優先にした運用」を強くおすすめします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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