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2024年8月16日

相場の見立て・展望(8月16日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
8月16日の日経平均の終値は前日比1336.03円(3.64%)高の38062.67円と、大幅に5日続伸し、38000円大台を回復しました。8月5日に付けた年初来安値の31156.12円を起点にした大規模なリバウンドが継続中です。

思い返せば、5日までの日経平均急落の主因は、7月31日の日銀の植田総裁の記者会見でのタカ派発言を受け、「円キャリートレードの巻き戻し(解消)」が加速したためです。そして、8月7日に、内田副総裁が、「株価や為替相場が不安定な状況で利上げは行わず、当面は現行の金融緩和を維持する」と述べました。日銀がスタンスを一変させ、ハト派姿勢を明確にしたことで、日経平均の戻りに弾みがつきました。また、一部報道により、「下値ではGPIFの買いが見込める」との期待が高まったことも、買い材料視されました。
さらに、「円キャリートレードの巻き戻し」がほぼ一巡した可能性が高まったことも好材料でした。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する非商業部門(投機筋)の円の売り越し幅は7月2日時点で18万4223枚にまで積み上がっていましたが、8月6日時点には1万1354枚と、1カ月で93.8%も減ったからです。実際、外国為替市場では、5日に1ドル=141円67銭付近まで円が急伸したものの、16日夕方時点では149円アラウンドでの推移となっています。ちなみに、COT(建玉明細報告書)は毎週末にその週の火曜日の営業終了日時点のものが発表されます。

一方、米株相場も、7月の雇用統計をきっかけに、景気の悪化懸念で売りが膨らんだ急落局面から回復してきています。15日のNYダウは3日続伸し、前日比554.67ドル(1.38%)高の40563.06ドルと、7月31日以来の高値で取引を終えました。また、ナスダック総合株価指数は6日続伸し、同401.89ポイント(2.34%)高の17594.50ポイントと、こちらも7月31日以来の高値でした。この日は、7月の米小売売上高が前月比1.0%増と、市場予想の0.3%増を上回ったことが、買い材料となりました。なぜならば、米経済の大半を占める個人消費が減速するとの懸念が大幅に後退したからです。

このような状況を反映して、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は、15日は15.23で取引を終えました。VIXは5日には一時65.73と、2020年3月のコロナ・ショックや、2008年9月のリーマン・ショック以来の水準にまで急騰する場面がありました。なお、VIXは20を基準に、20を下回って推移する限り、投資家の下値不安は大幅に後退しているとみることができます。つまり、米国株は堅調に推移する可能性が高いとみてよいでしょう。

このような状況下、日経平均のチャートが大幅に改善しています。16日の終値は38062.67円と、200日移動平均線(16日現在37020.27円)を上回り、「レジサポ転換(これまのレジスタンスライン(抵抗線)がブレイクされたことによりサポートライン(支持線)に転換すること)」が実現したからです。よって、当面の日経平均のサポートラインは200日移動平均線となったとの前提で、押し目を積極的に狙うことをおすすめします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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