8月29日のNYダウは反発し、前日比243.63ドル(0.59%)高の41335.05ドルと、2日ぶりに最高値を更新しました。FRBが9月のFOMCで利下げを開始するとみられる状況下、2024年4〜6月期の米実質GDP改定値が前期比年率3.0%増と、速報値の2.8%増から上方修正されたことで、米経済がソフトランディングできるとの楽観的な見方が強まり、景気敏感株が買われました。
一方、ナスダック総合株価指数は続落し、同39.60ポイント(0.23%)安の17516.43ポイントでした。29日夕に発表した2024年5〜7月期決算や8〜10月期の売上高見通しが市場予想を上回ったにもかかわらず、エヌビディアの株価が6.38%下落しました。29日のエヌビディアの株価の値動きに関しては、ブルームバーグが「エヌビディア決算に対する市場の反応は、少なくともブラックウェルの投入についてさらに判明するまでは、エヌビディアの評価が当面頭打ちになる可能性を示唆している。」と報じています。
一方、8月30日の日経平均は反発し、前日比285.22円(0.74%)高の38647.75円でした。MSCIの「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期入れ替えに伴い、大引けで同指数に連動した運用(パッシブ運用)を目指す投資家によるポジション調整絡みの売買で、東証プライムの売買代金は概算で5兆1924億円、売買高は20億507万株に膨らみました。なお、8月の日経平均は月間(終値ベース)で454.07円(1.16%)の下落でしたが、月間値幅(月間のザラ場安値と高値の値幅)は7513.67円と、非常に大きなものでした。値動きとしては、「8月5日まで急落。そこで底打ち。その後、月末にかけて大規模なリバウンドが発生。」というものでした。
ところで、「円キャリートレードの巻き戻し(円買い・ドル売り)」が継続した結果、8月20日時点でヘッジファンドなど投機筋(非商業部門)の通貨先物市場における円の対ドルでのネットポジションは2万3585枚の買い越しでした。買い越しは2週連続です。また、8月23日時点の信用買い残は4週ぶりに増加(939億円の増加)し、3兆9475億円でした。これは、7月26日の直近のピークの4兆9808億円から1兆333億円も低い水準です。
「シカゴ投機筋が円を買い越していること」及び「信用買い残がピークから大幅に低い水準にあること」を考慮すると、需給面からの日本株急落リスクは大幅に低下しているとみています。テクニカル的には、日経平均については、8月16日に200日移動平均線を上回って以降、「レジサポ転換」状態が継続しています。よって、当面の日経平均のサポートラインは200日移動平均線(8月30日現在37359.00円)との前提で、引き続き、日本株の押し目を積極的に狙うことをおすすめします。
2024年8月30日
相場の見立て・展望(8月30日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。