日経平均については、8月5日の31156.12円を起点にしたリバウンドは9月2日の39080.64円で終了しました。米国株の大幅安の流れを受けて始まった9月4日の終値は前日比1638.70円(4.2%)安の37047.61円でした。これは歴代5番目の下げ幅です。今年だけみても、8月5日の4451.28円安、8月2日の2216.63円安に次ぐ3番目の下げ幅を記録しました。翌5日は390.52円安、そして、6日は265.62円安の36391.47円で今週の取引を終えました。テクニカル的には、5日移動平均線(6日現在37496.67円)、25日移動平均線(同36947.85円)、75日移動平均線(同38558.24円)、200日移動平均線(同37483.11円)全て下回っており、「弱気相場」に突入したとの認識です。
なお、9月最初の取引日となった3日のNYダウは3営業日ぶりに反落し、前週末比626.15ドル(1.51%)安の40936.93ドルでした。ナスダック総合株価指数は反落し、同577.32ポイント(3.26%)安の17136.30ポイントでした。ISMが3日午前に発表した8月の製造業景況感指数は47.2と、好不況の分かれ目となる50割れが続き、市場予想の47.9にも届かなかったため、景気悪化懸念が強まり、株式が売られました。また、エヌビディア株は108.00ドルと前週末比で9.52%下落し、時価総額が2789億ドル減りました。米メディアによると、米企業の1日あたりの時価総額の減少額としては過去最大とのことです。この影響で、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は前週末比7.7%安で終えました。1日の下落率としては新型コロナウイルス禍の2020年3月以来およそ4年6カ月ぶりの大きさでした。
それはさておき、「円キャリートレードの巻き戻し(円買い・ドル売り)」が継続している結果、8月27日時点でヘッジファンドなど投機筋(非商業部門)の通貨先物市場における円の対ドルでのネットポジションは2万5868枚の買い越しでした。買い越しは3週連続です。また、8月30日時点の信用買い残は3兆9851億円でした。これは、7月26日の直近のピークの4兆9808億円から9957億円も低い水準です。
「シカゴ投機筋が円を買い越していること」及び「信用買い残がピークから大幅に低い水準にあること」を考慮すると、需給面からの日本株急落リスクは大幅に低下しているとの見方は不変です。ただし、残念ながら、日経平均がサポートラインの200日移動平均線を割り込んでしまいました。よって、当面の日本株については、積極的な運用は慎み、リスク管理を厳格にした運用方針に切り替え、底入れのタイミングを待つ投資戦略を推奨します。
2024年9月6日
相場の見立て・展望(9月6日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。