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2024年9月27日

相場の見立て・展望(9月27日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
米経済がソフトランディングできるとの見方が根強く、米国株式市場が堅調に推移しています。9月26日のS&P500種株価指数は前日比23.11ポイント(0.40%)高の5745.37ポイントで終え、最高値を更新しました。NYダウは反発し、同260.36ドル(0.62%)高の42175.11ドルでした。ナスダック総合株価指数は4日続伸し、同108.09ポイント(0.60%)高の18190.29ポイントでした。中国当局が24日以降、景気刺激策を相次いで打ち出していることが好感されました。24日は中国人民銀行(中央銀行)が、預金準備率の引き下げや政策金利の引き下げを発表しました。そして、中国共産党は、26日には中央政治局会議を開催し、不動産市場の安定化を図る支援策を打ち出しました。

ところで、26日は、半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーが決算発表をきっかけに前日比14.11ドル(14.7%)高の109.88ドルと急伸し、他の半導体関連株に買いが波及しました。2024年6〜8月期決算は、「HBM(広域帯メモリー)」の需要がAI向けで好調でした。そして、マイクロンの経営陣は「9〜11月期は過去最高の売上高になり、25年8月期通期は大幅な収益改善を見込んでいる」と自信をみせたとのことです。マイクロンの好決算をきっかけに、市場では、半導体メモリーの市況悪化に伴う先行きへの警戒が後退しました。

一方、9月27日の日経平均は大幅続伸し、前日比903.93円(2.32%)高の39829.56円でした。しかしながら、27日投開票の自民党総裁選挙では、決選投票の結果、石破元幹事長が215票、高市経済安全保障担当大臣が194票で、石破氏が高市氏を抑えて新しい総裁に選出されました。これが市場に伝わると、東京外国為替市場では、円相場は1ドル=146円台半ばから143円割れまでおよそ約3.7円、一気に円高が進みました。日銀の利上げ停止を求めていた高市氏が勝利するとの思惑から事前に円売り・ドル買いの動きが膨らんでいたため、その反動が出た格好です。

そして、大証の夜間取引では、日経平均先物12月物は、16時36分に2220円(5.57%)安の37630円を付けました。このため、週明けの9月30日は、「石破ショック」を覚悟しておく必要があります。とりわけ、高市氏関連として買われていた、「サイバーセキュリティー」、「宇宙」、「核融合」、「量子コンピュータ」関連には売りが殺到する可能性があり、要注意です。逆に、石破氏関連の「地方創生」、「防災」、「防衛」、「建設」、「ご当地(鳥取)」関連には買いが入る見通しです。

今後に関しては、市場では、まずは石破氏の政策や「組閣人事」、「党役員人事」を見極めたいとのムードが強い状況が続く見通しです。たしかに、石破氏は、「株式の売却益など金融所得への課税強化」や、「法人税・所得税の引き上げ」などに言及していたため、短期的には株式市場は石破新総裁誕生を歓迎しないでしょう。しかしながら、石破氏は、9月25日、経済政策について、「(岸田文雄首相が進めてきた)成長と分配の好循環を、さらに力強く、確実なものにしていく」と述べ、岸田路線の継承を明確にしています。つまり、現時点においては、石破新政権が、日本経済の成長を阻害するような政策を打ち出す可能性は低いため、今回の「自民党総裁選をきっかけとした金融市場の混乱」は比較的短期で収束するとみています。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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