10月10日のNYダウは3営業日ぶりに反落し、前日比57.88ドル(0.13%)安の42454.12ドルでした。ですが、前日9日のNYダウは前日比431.63ドル(1.02%)高の42512.00ドルで取引を終え、3営業日ぶりに最高値を更新していました。4日発表の9月の米雇用統計が市場予想を上回る内容となり、米経済のソフトランディング期待が高まっていることが、9日のNYダウ最高値更新の主因です。よって、10日は小幅反落したとはいえ、NYダウに代表される米国株は、足元で、非常に強い動きを続けていると評価しています。
なお、10日の反落の主因は、景気敏感株の一角などに利益確定売りが出たためです。また、この日発表の9月のCPIで、エネルギーと食品を除くコアが前月比0.3%上昇と、市場予想の0.2%上昇を超える伸びとなったこと(インフレが収まっていないこと)に加え、週間の米新規失業保険申請件数が25万8000件と市場予想の23万件以上だったこと(米労働市場が悪化していること)が嫌気されました。さらに、米10年物国債利回りが、一時は4.12%と7月末以来の高水準を付けたことも、悪材料視されました。ただし、「米長期金利が4%程度で推移しても、米国経済は底堅く推移することは可能だ」という見方が市場コンセンサスのため、今後、想定を超えて長期金利が急騰しない限り、米国株が急落することはないとみています。
一方、国内では、石破首相が、10月9日、衆議院を解散しました。15日公示・27日投開票の日程で総選挙を行います。今回の選挙に向けて、自民党は、政治資金収支報告書に不記載があった議員と選挙区支部長の計12人を公認しないと発表しました。また、小選挙区と比例代表との重複立候補について、処分の有無にかかわらず不記載があった30人超を認めないほか、石破総裁や党四役も見送る方針を決めています。そして、岸田前首相も、今回の選挙での重複立候補を辞退しました。
今回の総選挙では、自民党にとっては、派閥を巡る政治資金問題が逆風となる見通しのため、大幅に議席を減らす見通しです。このため、現時点での市場の最大の注目ポイントは、自民、公明両党での過半数の233獲得を確保できるか否かです。ただし、仮に自公で過半数割れとなった場合は、日本維新の会が自公連立政権に参加するというのが、現時点での私のメインシナリオです。よって、選挙結果がどうであれ、自民党を中心にした政治が続くとみています。つまり、選挙結果を受けて、わが国の株式相場が大きく動揺する可能性は低いと考えています。
このような投資環境の中で、11日の日経平均は3日続伸し、前日比224.91円(0.57%)高の39605.80円でした。日経平均は週間で970.18(2.51%)上昇しました。今後に関しては、日経平均が、25日移動平均線(11日現在37783.59円)を上回って推移する限り、「弱気」になる必要はないと考えています。逆に、9月27日のザラバの高値39829.56円を上抜けるようだと、「売り方の買戻し(ショートカバー)」を起爆剤に、上昇ピッチが加速する可能性が高まるとみています。結論として、「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略に、積極的な市場参加をおすすめします。
2024年10月11日
相場の見立て・展望(10月11日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。