11月1日の日経平均は大幅に続落し、終値は前日比1027.58円(2.63%)安の38053.67円でした。大引け間際の14時47分には37946.66円の安値を付け、38000円大台を割り込む場面がありました。日経平均は週間で、139.75円(0.36%)上昇しました。10月29日のザラバに38903.68円の高値を付けた後、週末にかけ失速して取引を終えました。1日の東京株式市場では、10月31日の米国株式市場で、30日夕に2024年7〜9月期決算を発表したマイクロソフトが前日比6.05%安と大幅下落するなど、ハイテク株全般が下落したことが嫌気されました。
ちなみに、10月31日のNYダウは3日続落し、前日比378.08ドル(0.90%)安の41763.46ドルでした。ナスダック総合株価指数は続落し、同512.78ポイント(2.76%)安の18095.15ポイントでした。また、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同206.75ポイント(4.01%)安の4946.75ポイントでした。なお、この日は、9月の米個人消費支出(PCE)物価指数で、食品とエネルギーを除くコア指数が、前年同月比で2.7%上昇し、市場予想の2.6%以上だったことで、インフレ圧力の根強さも株式の売り材料となりました。
ところで、11月5日に米大統領選の投開票を迎えます。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領のどちらが勝利するかは「神のみぞ知る」です。しかしながら、ここ最近の各種報道によれば、勝敗を左右しやすい激戦州の支持率調査では、トランプ氏が優勢のようです。そして、現時点では、市場は、トランプ氏が勝利して連邦議会上下両院も共和党が多数派となる「トリプルレッド」を織り込んでいるように感じます。それはさておき、私は、ハリス氏が勝とうが、トランプ氏が勝とうが、どちらが新大統領になっても、米国経済を成長させる方向で政権運営をするはずなので、選挙結果を受けて、市場が極端な動きになるとはみていません。
一方、日本に関しては、10月31日の記者会見で、日銀の植田和男総裁は、「展望レポートの最後のところにある文章には、米国経済をはじめとする世界経済の動きという表現を付け加えて、ここのリスクをまだ重視してみてるという姿勢は貫いてはいますけれども、やや行ったり来たりになりますが、リスクの度合いは少しずつ下がってきていますので、もう少しみて今のようないい動きが続けば、普通のリスクと同等のところになる。そういう意味で、このリスクに光を強く当てて、時間的余裕を持ってみていくという表現は不要になるのではないかというふうに考えて、今日も使ってないということでございます。」と述べました。つまり、次回の利上げについて「時間的余裕がある」との表現は使わないとしました。このタカ派的な植田発言が為替市場での円高要因となっていると同時に、わが国外需関連企業の株価圧迫材料となっています。
最後に、11月1日の日経平均の終値は38053.67円でした。5日移動平均線(1日現在38784.30円)も、25日移動平均線(同38814.66円)共に下回っています。現状については、「やや深刻な調整局面」と認識しています。今後については、少なくとも、5日移動平均線を上回るまでは、更なる下振れを警戒して、慎重な運用を心掛けることをおすすめします。ただし、25日移動平均線とのマイナス乖離率が大きくなるケースでは、「時価総額上位の主力株や、株価指数先物などの押し目買いの好機」になるともみています。
2024年11月1日
相場の見立て・展望(11月1日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。