12月27日の日経平均は3日続伸し、終値は前日比713.10円(1.80%)高の40281.16円でした。7月19日以来およそ5カ月ぶりに、終値で心理的節目の4万円を回復しました。まさに「掉尾の一振(大納会に向けて株価が上昇する様子)」となりました。週明け30日の「大納会」も堅調な相場になることを期待したいものです。
27日は、外国為替市場での円安・ドル高進行を受け、輸出関連株が上昇し、株価指数を押し上げました。輸出関連の中でも、自動車セクターが最も投資家の関心を集めていたように感じました。きっかけは、ホンダ(7267)と日産(7201)が23日、経営統合に向け協議を始めることで合意したことや、日本経済新聞が25日、「トヨタが自己資本利益率(ROE)の目標を2倍の20%に引き上げる」と報じたことなどのようです。
ところで、足元の円安・ドル高の主因は、「米長期金利の上昇」と、「日米の金融政策の違い」の2つです。
まず、「米長期金利の上昇」については、26日の米10年物国債利回りは、一時4.64%と5月上旬以来の高水準を付けました。上昇の背景は、インフレ再燃リスクの高まりです。ただし、FRBは9月のFOMCで0.50%、11月と12月にそれぞれ0.25%と、計1%の政策金利の引き下げを実施しました。このように政策金利は1%引き下げられたのに、この間の長期金利は1%上昇しているのです。「政策金利が下がったのに、長期金利が上がった理由」に関して、日経速報ニュースは27日、「FRBの利下げ方針に対し、米債券市場はインフレ再来の懸念を強めている可能性が高いとみられ、両者の溝が深まっている事象と捉えられる。来年1月に発足するトランプ次期政権での積極財政に伴う財政赤字拡大で保有期間リスクに応じて要求される金利の上乗せ分(タームプレミアム)の拡大が長期金利を押し上げている面も大きい。」と報じています。この解説通りだと思います。
次に、「日米の金融政策の違い」については、一言でいえば、「日銀は追加利上げに慎重でハト派、FRBは追加利下げに慎重でタカ派」のため、日米金利差の縮小観測が後退しているため、円が対ドルで売られやすくなっているのです。
ところで、2025年は「巳(み)年」です。干支にちなんだ相場格言では、「辰巳(たつみ)天井(辰年や巳年は株価が天井をつける)」、「戌亥(いぬい)の借金、辰巳で返せ(戌年や亥年は株価が下がり、辰年・巳年は株価が上がりやすいので、戌亥年でできた借金も、辰巳年で取り返せる)」というものがあります。念のため、「巳年での天井形成」を頭の隅に置いておいて損はないと思います。なお、米国では1月20日にトランプ2.0(第2次トランプ政権)が発足します。このため、2025年以降は、トランプ氏の言動や行動に、世界の金融市場が振り回される可能性が高いことは、最大の警戒材料です。
それはさておき、2025年が、当コラムの読者の方にとって、儲け易い年になることを切に祈っております。皆様には1年間大変お世話になり、心より感謝しております。来年も本年同様のご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
2024年12月27日
相場の見立て・展望(12月27日付)
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
- 情報のプロフェッショナル
- 藤井 英敏
カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。
- 証券会社のディーリング部に在籍し、株式売買の経験があるものを証券ディーラーと呼称しています。